1996年に病原性大腸菌のO157による食中毒が流行します。原因は一時的にカイワレ大根だと言われ、そのためカイワレ大根の業者が甚大な風評被害を受けた結果、倒産や破産、それによる自殺者も出ています。
風評被害の原因となったのが当時厚生労働省の大臣だった菅直人さんによる発表でした。内容は「大阪府内の業者が出荷したカイワレ大根が原因となった可能性は否定できない」との発言でした。
ここでは菅直人さんのカイワレ大根への風評被害についてまとめいます。
Table of Contents
菅直人かいわれ大根(カイワレ)風評被害
引用:from Food
O157感染症が発生し、その後菅直人さんの発表で風評被害が発生したことを段落ごとに書いていきます。
- O157の発生
- 風評被害の発生
- 菅直人のパフォーマンス
- 結果
- その後
菅直人かいわれ大根(カイワレ)風評被害・O157
引用:九州大学
1996年(平成8年)7月12日に集団赤痢が発生。場所は大阪府堺市で小学生数人に下痢や血便という症状でした。
その後の14日には発病者26人の13検体からO157が発見。女子児童の3人が亡くなっています。原因はO157と思われ、大腸菌が産生する毒素が原因の溶血性尿毒症候群により死亡。7歳と10歳12歳の女の子でした。
9月末には大規模な集団発生。その数、児童6309人、教職員92人、二次感染と思われる者が160人。に入院者数は995名に上りました。そのため原因究明が行われますが、原因は判明せず感染源が不明。
検体や症状からもO157であることはほぼ確定。しかし感染源や感染経路は不明でした。感染者のほとんどが学童でした。そのため水道や給食が感染経路として疑われましたが判明はしませんでした。
O157は大腸菌です。そのため動物の腸内にいます。感染は動物の排泄物が食品や飲料を汚染し、それを飲食することで起きます。
これが、1996年に起こったO157集団食中毒のあらましです。
日本は世界的に見ても衛生意識が高い国です。保健所やそれに関わる組織も整備されている国でこれだけ大規模な食中毒が起こったのは大きな問題です。
おおまかにカイワレ大根の風評被害が発生するまでの一連の流れをまとめると
始めに大阪で集団赤痢が発生
↓
O157が発見される
↓
女子児童が3人死亡
↓
学童約6000人と教師約100人近くという大規模な集団発生
↓
原因究明が行われるも原因が判明しない(O157は症状からほぼ確定)
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感染源は不明
↓
菅直人が会見を開く。これによりO157の原因はカイワレ大根という報道が全国的に報じられる
↓
スーパーからカイワレ大根が撤去、出荷も停止。カイワレ農家が破産、一家離散、自殺が相次ぎ社会問題化。
菅直人かいわれ大根(カイワレ)風評被害・原因
引用:トレンド
感染源は不明の中、厚生省の大臣の菅直人さんが記者会見を開きます。O157の感染源はカイワレ大根と発表。「羽曳野市の南野農園の業者が出荷したカイワレ大根が原因となった可能性は否定できない」とのことです。
当時、厚生省では感染について詳細がわかっていませんでした。そのため週明けの月曜日に会見を開く予定でした。しかし、大臣であった菅直人さんが記者会見を強行。そして全国に「O157の原因はカイワレ大根」という報道がされます。その結果、スーパーの食品売り場からはカイワレ大根は撤去され、出荷も停止します。これにより多くのカイワレ農家が大打撃を受けることになりました。
こうした風評被害により大阪府のカイワレ農家や業者が破産・倒産し、自殺や一家離散などが相次ぎます。カイワレ農家や業者の多くは自営業や零細企業だったことが原因でした。そのため社会問題になりました。
大阪府が農園に行き施設や設備などを調査しましたが、O157が検出されることはありませんでした。O157集団食中毒の厚生省の最終報告では特定の施設から出荷されたカイワレ大根が原因食材として最終報告をしています。
理由としては・・・
事件のほとんどが小学生の児童でした。そのため水道や学校給食が疑われました。水道に関しては調査結果からも原因ではないと考えられます。なので学校給食の食材が最も有力な感染経路として疑われました。
肉や野菜などの食材からはO157は検出されず、トラックなどの食材運搬車からも検出されていません。調理施設は別々の場所のため、発生原因とされたのが共通の場所で使用された食材が疑われました。
その中でカイワレ大根が原因食材の可能性が高いと見られました。それには別々の場所の発症者から同じDNA型のO157が検出されたこと。発症者が出た場所で共通の食材を使用していたこと、カイワレ大根は非加熱で提供されていたことがカイワレ大根を原因とするとした理由でした。
菅直人かいわれ大根(カイワレ)風評被害・パフォーマンス
社会問題化したカイワレ大根の風評被害を収拾するために菅直人さんはテレビでカイワレサラダを頬張り、平らげるパフォーマンスを披露します。
引用:私的憂国の書
多くの報道陣を前にカイワレ大根のサラダを和風ドレッシングをかけて三パック分、食べています。ちなみにカイワレ大根は農林水産省の売店で買った埼玉県産です。
引用:キムチうどん県民
当時のこのパフォーマンスについて20年以上たった後にテレビのインタビューでこう振り返っています。
「あんなにいっぺんに(カイワレ大根を)平らげたことは初めて」と笑いながら振り返った。
引用:デイリー
2018年の6月9日放送の読売テレビ「あさパラ!」でMCハイヒール・リンゴのインタビューに答えています。
「あんなにいっぺんに(カイワレ大根を)平らげたことは初めて」と笑いながら振り返った。
風評被害によりカイワレ農家に倒産、破産が続出し、自殺者まで出す事態に陥る。
菅直人元首相 O157騒動でカイワレ一気食いを振り返る https://t.co/uUr36mLb4w
— 上の人の抜け毛 (@ocya_3) July 1, 2019
風評被害が発生し多くの破産者を出した原因となった張本人としては不謹慎です。やはり事後の態度から見てもパフォーマンスでしかなかったのは明白です。2016年には後遺症の脳出血で死亡した当時市立小学校1年生だった女性(25)がいます。他にも後遺症で現在も高血圧や慢性腎炎で治療が必要な方が3名います。
調査の結果からカイワレ大根に汚染の可能性はありました。しかし、「特定の生産施設から特定の日に出荷された物に関してのみ」です。
「特定の日や他の生産施設から出荷された物について安全性については指摘したものではない。」とも厚生省の資料に記載しているように多くの施設を閉鎖するような状況になってしまったのは他ならぬ菅直人さんの会見が発端です。
原因食材としてはカイワレ大根の可能性がありました。しかし、風評被害に関しては大臣の菅直人さんを始め、厚生省やメディアの責任が大きいでしょう。会見の問題や事後の対応、パフォーマンスで禊はすんたとばかりの菅直人さんの態度はおかしい物があります。
菅直人の安っぽいパフォーマンスにコロリと騙される人が多いが...。自分はカイワレの頃から何か胡散臭い野郎だと漠然と思ってたが、色々知るにつれ、自分の直感が正しかったことがわかってきた。直感て大事だな。
— @もののふ (@SUBARU_REGACY) September 8, 2020
菅直人を支持する人は、その昔彼の発言によってカイワレ農家が風評被害にあい、売上が壊滅状態になったことをお忘れなのだろうか。それをカイワレを食ってパフォーマンスですませた最低な人間ですよ。
— だらけ (@mtdrk) June 4, 2010
昔、O-157食中毒事件の際に、なんの確証もないのに「カイワレ大根がO-157の感染源であると疑われる節がある」と当時の厚生大臣菅直人自らが新聞記者の前で公表した後、自らの失言を取り繕うためにメディアの前でカイワレをむしゃむしゃ食った偽善のパフォーマンスとは大違い。
— ぶっちのパパ【🇯🇵いつも心に日の丸を🇯🇵】 (@kanazawa0225) July 18, 2017
なぜ菅直人は自身が起こしたカイワレ事件で「風評」を学ばなかったのだろうか?
1996年8月のO157騒動。彼は独断で緊急記者会見を開き「大阪府内の業者が出荷したカイワレ大根が原因となった可能性は否定できない」と発表。風評被害が発生し倒産・破産が続出、大量の失業者をうみ。自殺者まで出した。— Kame Ron Diaz(San Diego出身) (@kamesan1959) September 19, 2019
再び当時の風評被害を受けた直後の話に戻ります。
菅直人かいわれ大根(カイワレ)風評被害・結果
菅直人さんはカイワレ大根を食べるパフォーマンスをしました。しかし、あまり効果はなく風評被害が収まることはありませんでした。
農家や業者が大きな損害を受け、破産し自殺も相次ぎます。自営業者や零細企業が多かったのも理由の一つでしたが、大半の農家や業者はカイワレ大根を栽培する施設を借入を行って建設したことも原因です。
事件が起きたことで出荷や販売価格が下落し返済が出来なくなり破産しています。国や政府による救済策はなく大臣の菅直人さんもカイワレサラダを食べただけでした。
菅直人かいわれ大根(カイワレ)風評被害・その後
カイワレ業者や農家の団体が損害をもとめ大阪地裁、東京地裁に提訴。地裁と高裁で厚生省が敗訴しています。
大阪地裁は「当時のO-157感染症の発生状況に照らし、これから更なる調査を重ねなければならない状況下において、かかる過渡的な情報で、かつ、それが公表されることによって対象者の利益を著しく害するおそれのある情報を、それによって被害を受けるおそれのある者に対する十分な手続的保障もないまま、厚生大臣が記者会見まで行って積極的に公表する緊急性、必要性は全く認められなかったといわざるを得ない」として、「中間報告の公表は、相当性を欠くものと認定せざるを得ない」と公表方法の過失を認定した。
また、大阪高裁は「公表することによって被控訴人が被る打撃や不利益に思いを至せば、その時点では、公表すべき緊急性、必要性があったものということはできない」として、「公表方法の選択が政策的判断であるという見地に立つとしても、その判断には逸脱があり違法である」と公表方法の過失を認定した。
引用:エヌのブログ
裁判では公表方法に関して過失が認められています。風評被害が法によって明確にされています。裁判では菅直人さんのやったカイワレサラダのパフォーマンスに関しても判断がなされています。
東京地裁は、「(カイワレ業者などが)納得するのであれば、批判の限りでない」が「(カイワレ大根がO-157に汚染されていたという)自ら招いた疑いを解くことができると期待してのことであれば、国民の知性を低く見過ぎるのではあるまいか」と批判した。
引用:エヌのブログ
菅直人さんは今でもこの件に関して反省も謝罪もしていません。その上「事件後消毒されたことは明白で証拠隠滅が図られた」と話しています。カイワレ大根が原因食材だったとしても風評被害に対しても謝罪もないというのはおかしいですね。
菅直人かいわれ大根(カイワレ)風評被害・まとめ
カイワレ大根は特定の業者の特定の日の物に関しては汚染されていた可能性はりました。しかし、風評被害の主な原因は菅直人さんが独断で行った会見が発端であり、裁判でもそう判定されています。
伝え方やパフォーマンス優先の情報伝達方法に問題が大きくありました。